ゆうべはテレビで放送された映画『ヴィレッジ』を見たので、感想を書きたいと思います。

【あらすじ】
 主人公アイビーは、さまざまな掟のある村でくらしている。彼女の結婚が決まった日、恋人が知的障害のある青年・ノアに刺されて瀕死の重傷を負った。彼を助けるためには、森を越えて街へ行き、薬をもらって来なければならないのだ。
 父親から街へ行く道筋を教えられたアイビーは、森へと足を踏み入れるのだが――。


 最初は、いかにもゴシックホラーという雰囲気で、そういうのが好きな私にはそれだけでも惹きつけられる要素でした。
 主人公のアイビーは目が見えないのですが、何か不思議な力というか、オーラを見るような力を持っているらしく、そうした部分もまた、作品の雰囲気を盛り上げていました。
 また、撮り方がうまいというか、いかにもそれっぽくて、そこもよかったと思います。

 最後に来るオチは、あまりに想像もしていなかったもので、びっくりしてしまいましたけれども。
 村の年長者らの会話を聞いていると、「森の向こうの世界って、本当にあるの?」という気もしましたし、アイビーが教えられた道の突き当たりに、高い垣根を見つけた時には「もしかして、ここって精神病院で、彼らは実は閉じ込められていたのか?」とも思ったのですが。
 でも実際は――彼らは自ら、あの閉塞した環境を選んでいたわけですよね。
 そして、父親がアイビーに途中からは1人で行けと言った理由もなんとなく理解できました。
 目の見えない彼女には、外の世界と自分たちの村との激しい差がわからないから、だったんじゃないかなと。

 それにしても、見終わった後、この先彼らはどうなるんだろうと思ってしまわずにはいられませんでした。事情を知っている年長者たちが生きている間はいいとして、彼らが年を取って死んでしまったら?
 ノアが化けた「森に棲むもの」は、そうとは知らないアイビーによって殺されてしまい、年長者たちは事実を隠蔽するために、ノアは「森に棲むもの」と戦って死んだことにしようと話し合っていました。
 それを聞かされればおそらく、「森に棲むもの」が年長者たちの作った嘘だと教えられたはずのアイビーも、「やっぱりあれは実際に存在していたんだ」と思うに違いないでしょう。
 それにこの状態では、年長者たちがもし自分の死が迫ったとしても、自分の子供に事実を話すことをするかどうかは、わからないですよね。
 そうなると、アイビーたちの世代の者にとっては、作り事は全て真実になるわけで。
 なんというか、この村は同じ大地の上にある異世界なんだなという気がすごくしました。

 同時に、今私たちの生きているこの世界も、実はこんなふうに、箱庭のように区切られ守られた場所の中にあるだけなんじゃないかという気がひしひしとして来て、なんだか怖くなってしまいました。
 もしも、ですよ。
 日本にいろんな都市や県があることも、地球上にさまざまな国があるということも、全て作り事だとしたら? ただそんなふうに思い込まされているだけで、テレビで流されるニュースも、ネット上でのやりとりも、全てが何者かによって捏造されているだけのもので、本当は世界はたとえば自分の住んでいる都市だけしかないとしたら?
 もちろん、そんなことはあり得ないんだとわかってはいますけれども――。

 ともあれ、すごい映画だったと思います。
 ただ、テレビ放映なので、おそらくはカットされたシーンとかもかなりあるだろうし、いずれレンタルなどでDVDの方を見てみたいなと思ったことでした。

2008.05.31 Sat l ドラマ・映画の感想 l top ▲