■『昭和天皇の妹君』 河原敏明(文芸春秋社)
ドキュメンタリーとかルポ、といったジャンルになるのでしょうか。
三笠宮の双子の妹が人知れず里子に出され、寺の住職をしているという噂の真相に迫ったものです。
それなりに面白かったですが、寺の住職よりは皇女として育つことが幸せかどうかはわからないよなあと、読み終わって思ったりしました。
もちろん、実の親兄弟と引き離されて育ったこと自体はかわいそうだとは思いますが。ただ、この人のルポが真実ならば、周囲は本当のことを知っていて、親ともたまには会っていたりしたわけですから。それほど「悲劇」という感じもしませんでした。
それと、別に生まれがどうでも、今は寺の住職として普通にくらしているなら、そっとしておいてあげればいいのになあとも思ったり。
ともあれ、こういうこともあるのだなあと思ったことでした。
■『月光界・逢魔が時の聖地』3巻 麻城ゆう(新書館)
【あらすじ】
妖魔の暗黒丸は、母親殺しの罪人と信じる兄ショッキング・ブルーを追ってハンカの国へとやって来た。そこでひょんなことから月の司祭に選ばれた彼は、しだれ沼の警備隊長ロックと知り合った。
一方、ブルーの方はハンカの主宰ターコイズと知り合い、彼に協力することとなる。
やがて、年に一度、しだれ沼の聖霊獣に生贄を捧げる儀式の日。ブルーはその生贄と入れ替わり、しだれ沼に入り込むことに成功するが――。
『月光界』シリーズの最終巻を、やっと読み終えました。
読み始めたのが春ごろだったので、いったいどれだけ時間がかかっているんだ〜って話ですが。
それはさておき、内容の方は――面白かったです。
最初の方の巻で引かれていた伏線もきっちり拾われ、なによりハッピーエンドだったわけですし。
そして、最後までブルーはブルーだったところが、なんとも。
ちなみに、この新書館でのシリーズはかつて大陸書房で刊行され、その後角川に引き継がれた最初のシリーズの過去編なので、実はこれを読み終わってから、最初のを読むと二度美味しいんじゃないかと思うのですが。
ちょっと今はそんな気力がないですけれども、いずれはそれもやってみたいなあと思ったりしたことです。
■『グイン・サーガ118巻 クリスタルの再会』 栗本薫(早川書房)
【あらすじ】
タイス脱出を果たしたグインたちは、ヴァレリウスの助けでようやくパロの都クリスタルにたどり着く。そこで、女王となったリンダと再会したグインだったが……。
タイスを出てからパロにたどり着くまでは、なんだか早かったですね。もっといろいろあるかと思っていたりしたのですが。更に、リンダと再会したら、もうちょっと記憶も戻るかと思っていたのですが、やっぱりそのままでした(^^; まあ、古代機械に何度も転送された後遺症のようなもの(?)らしいので、なかなかそう簡単には戻らないのかもしれません。
ただ、最後近くでリンダと手が触れ合った瞬間に変化が――というのは、この先の波乱というか何かを予感させて、わくわくしました。もっとも、リンダの方には更に大きな変化が。これまでは、父か兄のようにしか思っていなかったグインを、「男性」として意識したような?
私的には逆に、なんでこれまでリンダがグインに対してそんなふうに思わなかったのか、の方が実はちょっと不思議な気がしたりするのですけれども。
まあ、最初に出会ったのが十四歳だし、しかもその時傍にはイシュトも一緒にいたので、気持ちがそっちに傾いたのかなあとは思うのですが。でも結局、いつも一番頼りになって彼女のために命がけだったりしたのはグインで、かっこよかったのもグインだと思うのですが。
……って、このあたりは好みの問題かもしれませんけれどもね。
私がこのシリーズを読み始めたのは高校二年生、つまり十七の時でしたが、最初からグインのファンでしたし。
始まった当初のイシュトは、一時期よりはマシでしたけれど、でもやっぱりグインの方がかっこよかった気がします。
……いやまあ、それはどうでもいいといえば、いいですが。
ともあれ、グインの記憶が早く戻ってほしいと思う私です。
ずっと読んではいたのですが、感想を書けていないので、まとめてアップします。『グイン・サーガ』です。
■『グイン・サーガ110 快楽の都』
■『グイン・サーガ111 タイスの魔剣士』
■『グイン・サーガ112 闘王』
■『グイン・サーガ113 もう一つの王国』
■『グイン・サーガ114 紅鶴城の幽霊』
■『グイン・サーガ115 水神の祭り』
■『グイン・サーガ116 闘鬼』
■『グイン・サーガ117 暁の脱出』
作/栗本薫(早川書房)
【あらすじ】
「吟遊詩人マリウスと豹頭王グイン一座」を名乗って旅芸人に扮したグインたちは、快楽の都として名高いタイスの領主、タイ・ソン伯爵の招待を受ける。そして、マリウスは愛人として、グインは剣闘士として気に入られてしまい、タイスから出るに出られなくなってしまった。
それでも一度は逃亡を企てるものの失敗。とうとうグインは、最強の剣闘士ガンダルと戦うことを余儀なくされてしまった。
そんな中グインは、タイスの剣闘士の1人マーロールが実は地下水路に根を張る人々の王であることを知り、自分たちの素性と全ての事情を打ち明け、協力を請う。
やがてタイスが1年に一度の水神祭りににぎわう中、彼らの脱出のための計画が始まるのだった――。
まずは、117巻にてようやく長かったタイス編が終わりを告げました。
今年の夏がやたら暑かったせいとか、自分自身の体調がイマイチだったこともあるんでしょうけれども、ちょっとこのタイス編は私には「早く終わらないかなあ」みたいに感じるシリーズでした。いや、『グイン・サーガ』でこういうのはめずらしいんですけれどもね。
とはいえ、117巻を読み終わってみると、まさにマーロールが最後に言ったとおり、これでよかったのかなという気もしたりはします。
グインにとっては、いろいろ不本意なことも多かった上に、最後には大怪我までしてけっこう踏んだり蹴ったりだったような感じですが、それでもこれでタイスは確実にこれまでとは変わって行くのだろうし、それはたぶんいい方向に、なんだろうなあとも思いますから。
それに、グインにとってもマーロールとドーカスという2人の友ができたわけで、これはこれで悪くないのでは? という気がしますし。
殊にドーカスは、いずれその言葉どおり、ケイロニアを訪ねて来る日もあるかもしれないと勝手に想像したりして、なんだか読みながらうるうるしてしまいました。
さて。タイス編の登場人物たちですが、一番印象深かったのは、ガンダルでしょうか。
彼は、実は『グイン・サーガ』のわりと最初のころから名前だけですが時おり登場していました。とはいえ、実際に登場してグインと戦う日が来るとは思ってもいませんでした。
で、このタイス編で本当の意味で初登場した時には、なんだか『北斗の拳』の悪役みたいな奴だなあって感じだったのですが――グインとの戦いのシーンを読んでいると、なんだかぐっと来てしまいました。
この人がもしケイロニアに生まれていたら、もしかしたら王となったグインの下で将軍として数々の戦を共にしていたのかもしれないのに、みたいな、ちょっとそんな感じがして。
なんというか、人間にとってはどんな土地に生まれて生きて行くかは、実はすごく重要なことなんだなと改めて思ったりしたことでした。
それから、タイ・ソン伯爵とその娘たちとか、タリク大公とかも読んでいて笑えるというか、なんというか。
まあ、タイ・ソンはあれはあれで、それなりに自分なりの信念というかそういうものがあって、やっていたんだとは思います。他人にとっては、いろいろと迷惑な部分の多い信念だとは思いますけれどもね(笑)。
ただ、彼の娘たちについては――殊にアン・シア・リンについては読みながら、某所で言うところの「厨ちゃん」「厨姫」たちを思い起こしました(^^;
改めて、思い込みが強いって怖いって思いました。
もっとも、その想い人であるタリクにしても、やっぱり思い込みの強い、ちょっと「厨」寄りな人な気はしましたけどね。だって、フロリーを初めて見た時、どこかで会った気がしたって……それは前世でじゃなく、以前にバイアの離宮で会っているから当然なんですけど(爆)。いえもちろん、これについては思い出してもらわない方が、フロリーにとっては都合がいいわけですが。
ところで、最後にヴァレリウスが登場したのには、びっくりしました。
というか、ほんとに見てたんだったら、少しぐらい協力してやればよかったのに――とは思いました。まあ、それをしちゃったら、つまんなくなるんだとは思いますけれどもね。
ともあれ、彼のおかげもあってグインたちは無事タイスを脱出し、一路パロに向かうことになったのでした。
そういえば、ブランもこの先をどうするかちょっと悩んでいるようで……もしかしたら、スーティを取り戻そうとせずにゴーラに戻る、なんて展開もありそうな感じです。もっとも、スーティのことに関しては、パロというかリンダやヴァレリウスがどう考え、どう対処するかでその処遇も変わって来るような気も私はしていますが。
ともあれ、次からの展開も楽しみです。
推理期間は終わりましたが、感想の方はまったりと書いて行きたいと思います。
で、ようやくEブロックの分を読み終わりました。
E−01『星』
読み終わって、ちょっとせつない気持ちになりました。好きなタイプのお話です。
E−02『遠い星の研究生』
とても読み易くて、さくさくと読み進められました。語り手の正体は最初の方でピンと来たし、オチもなんとなくわかったのですが、それでもとても面白かったです。楽しい話でした。
E−03『真夜中の散歩』
わかるようなわからないようなお話でした。二人の会話のやりとりはよかったです。
E−04『こうして星はおちた』
短い話なのに、長編を読んだような気分を味わいました。星の使い方もうまかったと思います。
E−05『いとしのメリラ』
読み易くて楽しいお話でした。ラストは思わずニヤリとしてしまいました。また、フィリックの兄としての複雑な心情にも、ついつい口元がゆるみました。
E−06『レディ・ホログラムの歌声は』
雰囲気がすごくよくて、胸にしみじみと染みて来るお話でした。語り手の店の中やマデリーンの姿が目に浮かぶようです。ラストも良かったです。
E−07『夜になったら会いに行こう』
とても読み易い文章だと思いました。途中でだいたいオチがわかってしまったのですが……和美の手紙の中の「星になりたい」の部分はよかったです。
E−08『小天狗の森』
楽しいお話でした。読後感も爽やかでした。
E−09『星の音見つけて』
これ、すごくよかったです。作中に出て来る曲は全然知らないのですが、最後の方の音楽を情景で描く部分が圧巻でした。北極星を見つけたシーンにはなんだかものすごく感動してしまいました。
読み終わって、なんとなく昔やっていた、女の子がドナルドに励まされて縄跳びができるようになる、というマクドナルドのCMを思い出してしまいました。
読後感もよくて、ほんとに素敵でした。
E−10『フォーチュン・スター』
これも良かったです。最後でアカネの左眼は隕石のせいで超能力が宿ったのかしらん、と思ったのですが、そうじゃなく、そういうオチだったのですね。私の好きな風味の作品で、楽しませていただきました。
E−11『光の手』
いい話なのに、最後が尻切れトンボに感じました。少年と出会うまでのはるかの部分をもうちょっとはしょって、かわりに最後をもう少し続けるというか、なんとかしてほしかったなあという感じがしました。何が起きるのかしらと読み進んで来て、最後で肩透かしを食った気分です。
以上です。
一応、念のため書いておきますが、感想についてはまったく他意はありません。思ったことを思ったように書いているだけです。また、現時点では自分のいるBブロック以外の正解は見ていません。……参加者はどのブロックもほとんど知らない人ばかりなので、正解を見てもあんまり意味がないもので。純粋に作品のみを読んで行っています。
なので、もしこれらの感想を読まれて、きついと感じた作者さんがおりましたら、ご勘弁下さい。
なお、私には短編を読むスキルはほとんどないので、見当違いなことを書いている場合も多々あることを、お断りしておきます。